世界歴代興行収入を記録した映画は何本かありますが、それにはどのような要因があったのでしょうか?物語やジャンル、撮影技術、演技力など、さまざまな要素が絡み合って大ヒットを収め、その作品を見ようと大勢の観客が映画館に足を運びます。
特に『アベンジャーズ』や『スターウォーズ』など、誰もが知っている超人気シリーズ作品が公開されるとなると、熱狂的なスーパーヒーロー好きやSF映画ファンたちが想像上のスターを一目見ようと、公開初日から劇場に殺到し、週末には記録的な興行収入を誇ることもよくあります。
1.『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』(2002年)
2002年公開の『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング(原題:My Big Fat Greek Wedding)』は、男性ウケはあまりよくないかもしれませんが、女性の間で大人気となったロマンティックコメディです。ギリシャ系アメリカ人女性と非ギリシャ系アメリカ人男性のラブストーリーと、彼らが経験するカルチャーショックを描いたこの作品は、ごくわずかの低予算で製作され、限定公開されました。ところが、公開から時間が経つとともにじわじわと人気が高まり、予想をはるかに超える大ヒットを記録したのです。
当初はインディペンデント作品という位置づけで公開され、公開初週は興行収入も決して高くはなかったにもかかわらず、最終的には約3億6,900万ドルを稼ぎ出し、予算に対して61倍以上という驚異的な高利益率を記録しました。その結果、「利益率の高い映画」ランキングで第1位に選ばれています。
2.『E.T.』(1982年)
スティーブン・スピルバーグ監督は『E.T.』を製作したことにより、名実ともにハリウッドトップの映画監督としての地位を確立しました。本作以前にも、『ジョーズ』『未知との遭遇』『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』の監督を務めており、その素晴らしい経歴から、次作への期待も高まっていました。ところがスピルバーグ監督は、あり得ないほど高予算の映画を製作する代わりに、そのクリエイティブな才能を活かして、少年と地球外生命体との友情を描いた低予算の映画『E.T.』を製作したのです。
本作の人気は公開とともに急上昇し、世界中で大ヒットを収めました。特に子どもたちに人気が出て、各地の映画館には、一度だけでなく何度も繰り返し見るために戻ってくる客で溢れかえりました。そのため、映画館は公開期間を延長し、何ヵ月も上映することになったそうです。最終的に本作は約7億9,300万ドルという収益を上げ、予算に対して約32倍という利益率を記録しました。ただ、その利益を享受したのは映画製作者だけでありません。ハーシー社のリーシーズがE.T.が好きなお菓子としてたびたび登場した結果、同社の利益が65%増加したそうです。.
3.『スラムドッグ$ミリオネア』(2008年)
『スラムドッグ$ミリオネア』は公開当初、莫大な興行収入を生み出す作品になるとは予想されていませんでした。スラム育ちの貧しい青年がクイズ番組の参加者として有名になるというストーリーは、”大ヒット映画”とは言い難かったからです。実際、ワーナー・ブラザースは本作の収益性に懐疑的で、劇場公開を見合わせ、DVDでの配給にとどめようと考えたほどでした。
ところが本作は、2008年のテルライド映画祭でプレミア上映され、同映画祭の観客の間で大きな注目を集めました。それから米国内での配給が決まり、作品賞を含むアカデミー賞8部門を受賞し、経済的にも大成功。最終的に1,500万ドルの低予算に対して、約3億7,800万ドルという巨額な興行収入を生み出し、そのリターンは25倍以上となりました。